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ぽかんとする咲耶の前で、サルが頭をかきながら、人語をしゃべっている。
奇怪な状況に、咲耶は、やはりこれは夢なのかもしれないと思い、呆然とその場に立ち尽くしていた……。
「では、その旨、しかと承りましてございやす。───御免!」
言うなり、法被を着たサル……もとい、猿助は、煙のように消え去った。
あとには未だ事態がつかめず放心状態の咲耶と、猿助の機関銃のごとき一方的な話しっぷりに閉口しつつも、咲耶の代わりに返答してくれた椿が残った。
「……驚かれているのですね、姫さま?」
「え?
いや……だって、サルが服着て話してるって、なかなかシュールっていうか……」
しゅうる? と、一瞬首を傾げたものの、椿はいたずらっぽく笑って咲耶を見上げた。
「姫さま。
姫さまは、“神獣”の御姿にお戻りになったハク様をご覧になっているはず。
そう驚かれることでは、ないのではありませんか?」
「うん。あれはビックリしたけど。私、驚きよりも、嬉しさが先に立っちゃったんだよね。
だってホワイトタイガー……あ、白い虎ってめずらしいし、それに好きだから」
「まぁ……!」
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