弐:人ならざる半獣《もの》

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当初の目的の通り「遊びに来た」と言えば、咲耶の知りたいことの半分も知らされぬまま、丁重なもてなしを受けるだけで帰されてしまうことだろう。 「私に、この世界───この国の仕組みについて、教えてください」 畳に指をついて、頭を下げる。 セキコが、ふうっ……と、息を吐いたのが分かった。 「なんで、アタシに訊くの? そういうことはハクか、ハクの“眷属”に訊くのが、筋なんじゃない?」 突き放すような物言いに、咲耶は顔を上げ、セキコを見た。 「ハクコには改めて【違うこと】を訊く予定です。 犬貴は……都合の悪いことは、教えてくれなさそうなので」 咲耶の答えに、セキコは扇を開き口もとを隠してくくっと笑った。 細めた明るい(とび)色の瞳で、咲耶を見返す。 「“花嫁”としての自覚はあるわけね。 ……そう。【親しくなるべき】は、アタシじゃない。 そして、【護ること】をはき違える“眷属”もいる。しつけ次第だけど。 どうやら、ムダに歳をくってはいないようね。───菊、あれ」 「承知いたしました」
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