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「ちなみに、“下総ノ国”同様、他の国にもそれぞれに“国獣”がいるわ。
お隣の“上総ノ国”は、狼だそうよ。
そして、この“国獣”……国のなかにあっては“神獣”と呼ばれるアタシ達は、民に恵みをもたらす存在で、“国司”と共に国を豊かにするべく尽力している。
……というのが、“陽ノ元”全体の、建前論になるわ」
「建前……ですか」
「まぁ、よくあることよねぇ~。
実際は“国司”と“国獣”は対等じゃない。
特に、この“下総ノ国”にあっては“国獣”は“国司”の、かなり下の位に置かれてる。
ハクの儀式を三度で打ち切るなんてしたのが、いい例よ。あれは尊臣が勝手に決めたこと。
本当は、“神獣”には“神獣”に見合う“花嫁”を、【探す】機会が与えられるはずなんだから!」
憤然と言いきり、
「ま、結果としては、三度目のアンタがハクの“花嫁”になれたから、良かったんだけどね」
と、付け加えた。
「で、その上、恩恵を受けるはずの当人たちからは、
『民に恵みをもたらすどころか、結託して搾取してるくせに、偉っそうにしててムカつく!』
……って。
思われてるのよね~、やんなるわぁ」
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