弐:人ならざる半獣《もの》

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「ちなみに、“下総ノ国”同様、他の国にもそれぞれに“国獣”がいるわ。 お隣の“上総ノ国(かずさのくに)”は、狼だそうよ。 そして、この“国獣”……国のなかにあっては“神獣”と呼ばれるアタシ達は、民に恵みをもたらす存在で、“国司”と共に国を豊かにするべく尽力している。 ……というのが、“陽ノ元”全体の、建前論になるわ」 「建前……ですか」 「まぁ、よくあることよねぇ~。 実際は“国司”と“国獣”は対等じゃない。 特に、この“下総ノ国”にあっては“国獣”は“国司”の、かなり下の位に置かれてる。 ハクの儀式を三度で打ち切るなんてしたのが、いい例よ。あれは尊臣が勝手に決めたこと。 本当は、“神獣”には“神獣”に見合う“花嫁”を、【探す】機会が与えられるはずなんだから!」 憤然と言いきり、 「ま、結果としては、三度目のアンタがハクの“花嫁”になれたから、良かったんだけどね」 と、付け加えた。 「で、その上、恩恵を受けるはずの当人たちからは、 『民に恵みをもたらすどころか、結託して搾取(さくしゅ)してるくせに、偉っそうにしててムカつく!』 ……って。 思われてるのよね~、やんなるわぁ」
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