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嫌な予感しかしない中、それらを煽るような身体の変調に気が付いて、波濤は蒼白となった。急激に心拍数が上がるような、身体のどこそこが熱を持つような独特の感覚――過去にも体感したことがあるそれに、焦燥感がこみ上げる。
それらを肯定するかのように、
「そろそろ効いてきたか?」
自らを拉致してきた男のニヤけた言葉に、更に蒼白となった。
「効いてきた……って、どういうことだ……ッ」
「うーん、あんたにさっき作ってやった酒にね。ちょっといいモノを仕込ませてもらったのよ。多少よがってもらわねえと面白みがねえだろ?」
「――――ッ!?」
男の言っている意味に気付いた時には既に遅かった。どこから集まってきたのか、数人の見知らぬ男たちが周囲を取り囲むようにしながら、ニヤニヤと気味の悪い薄ら笑いを浮かべているのに思わず後退る。
「へえ、めちゃめちゃイケメンじゃん。こりゃ、相当額売り上げ出そうだな!」
「ほーんと! どこでこんなイイ男見つけて来たんだよ。このタイプのよがり顔は、そっちが好きな奴にはプレミアもんだぜ!」
何を説明されなくても分かる、もう淫猥な空気しか感じられないからだ。
波濤は自らの変調を振り払うように怒鳴り上げた。
「あんたらッ……! 何させるつもりだ……」
そんな態度も、目の前の彼らにとっては興味を煽るものでしかないのだろう、男たちはますますおもしろそうにニタニタと笑い始まった。
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