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その後も容赦なく、男たちは襲い来た。下肢を押さえ付けられ、ズボンをずり下ろされて、両の脚を開脚させられる。見下ろしてくるニヤけ顔の野獣たちが、逸ったように彼ら自身のベルトを緩めて舌舐めずりをする形相が地獄に思えた。と同時に自らを裏切る一人歩きした欲情が恨めしい。
「うっほ! 何だかんだ言って、あんたももう勃ってんじゃん、オニーサン!」
「ほーんとだ! 高そうなお洒落なパンツに沁みまで作っちゃってるぜ! 催淫剤効果、すげえな! 撮影係、ちゃんと撮っとけよ?」
「なぁ、おい! 突っ込む前にもうちょい遊んでやろうぜ。ちっとは可愛がってやんなきゃ色男のオニーサンも気の毒じゃね?」
好き勝手な言葉が悪寒と欲情を増殖させる。
「……そ、クソッ……よせ! やめてくれ……頼むから……!」
もう涙を隠す余裕もなく泣き濡れて懇願する波濤を見下ろしながら、男たちの興奮も最高潮に達していった。
◇ ◇ ◇
同じ頃――
どこかしこを捜せども静まり返って人の気配がしない建設中の建物の中で、龍と帝斗、そして龍が呼び寄せた男たちが必死に波濤の行方を追っていた。完成間近と思えるビル内には灯りが漏れていそうな所すら見当たらない。さすがに焦燥感が苛立ちを煽った、その時だった。上の階から物音がしたようだと龍の元に報告が入ったのだ。
「どの階だ!」
「はい、だいぶ音が遠かったので、結構な上層階かと思われます」
聞くなり、龍は凄まじい勢いで階段を駆け上がった。
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