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龍の心からの言葉を聞いて、波濤は更に泣き濡れた。ボロボロと止め処ない涙が枕を濡らし、堪え切れなくなった嗚咽が両の肩を揺らす。
「ごめ……龍、俺……俺はお前に愛してもらえる資格なんかねえって……思ってる。いろんな客に身体売って……汚ねえこともいっぱいしてきた……。でも、でも……お前のこと諦め切れない……どうしようもねえ我が侭野郎なんだ」
ヒック、ヒックと荒い息継ぎを殺すように絞り出される言葉に、龍は腕の中の華奢な身体を思い切り抱き締めた。
「謝るのは俺の方だぜ、波濤。お前の苦しみを知ろうともせず……ただ好きだの愛してるだのと、お前を自分のものにすることしか考えてなかった大馬鹿野郎だ。お前を苦しめてた菊造のことだって……」
――――!
龍のそのひと言に、波濤は驚いたように瞳を見開いた。
「知って……たのか?」
驚愕に揺れる大きな双眸から、再びボロリと大粒の涙があふれ出す。
「ああ、帝斗に聞くまで全く気付いてやれなかった。どうしょうもねえクズ野郎だがな……。これからは何も心配することはねえ。お前の苦しみは俺の苦しみだ。菊造のことも全て俺が引き受ける。俺たちは互いのことを知らなさ過ぎたな?」
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