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「俺の本名、覚えてたな? けど、どうせなら下の名前の方で呼べよ」
「はぁ!? ……ッ、あ……ッ、くそ……! 放っ……」
「いい声だ――」
「てめ……がヘンなことすっからだろが! ちょっ、いいから放せっての……に!」
「俺も本名で呼ぼうか? 冰――雪吹冰だろ? すげえ冷てえ名前だな。きっと、溶かすのに苦労する――」
会話が全く噛み合わない。こちらの言うことなどまるで耳に入っているのかいないのか、呆れるほどのマイペースに打つ手も思いつかない。
「観念して俺に抱かれちまえよ」
耳元を低く逸った声がくすぐったと同時に、今度はスラックスの中に手を割り込まれそうになって、ビクリと身体が撥ねた。
「何言ってんだ、てめえは……ッ! マジ、どうかしてんぜ……!」
「どうかしてんのはお前だろうが。なんで客の男なんかに好きにさせてんだよ。普通ホストがそこまでするか? 単に業績の為にやってるとは思えねえな」
「……! ンなの、余計な……節介だってんだよ……」
「いつもこうか? 相手が野郎なら誰にヤられても同じかよ。例えば俺でも……。それを証拠に――ほら、もう勃ってんぜ?」
「……てめ、さっきっから、ヒトの言うこと聞いてねえだろっ……! くそっ、放せっ……!」
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