Daydream Candy

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 もっと信じ難い言葉が背後から囁かれたのはその直後だ。 「もう他の奴とはするなと言ったんだ。お前が俺の知らない誰かに抱かれる――なんて、想像するだけで気が違いそうだ」  フイと手を取り上げられ、そのまま軽いキスを落とされて驚いた。まるで『俺だけのものになれよ』とでも言わんばかりだ。 「お前に”こんなこと”を教えた誰かのことを考えると正直堪らない。酷い嫉妬で我を失いそうになる」  手の甲にキスを繰り返しながら囁かれる言葉の内容にも驚きだが、そんなことを平然と言ってのけること自体が先ずは信じられなかった。しかもまるで平静そのものの落ち着いた調子で、言っている内容とはあまりにもちぐはぐだ。突如告白めいたことを言われても、とてもじゃないが素直に聞き入れる気にはなれなかった。  からかわれているのか、あるいはほんの遊びの一端か――とりあえず付き合ってみて飽きたら綺麗に別れればいい、男同士なら後腐れもなく退屈しのぎになる、そんな軽い気持ちなのだろうか。それともナンバーワンの座を奪い取る為の単なる策略か。  真面目に受け取ってのめり込んだ挙句、傷付くだろう結末が咄嗟に脳裏を過ぎった。  甘い言葉にほだされてはいけない。  この男に夢中になって苦悩に嵌まる自分など想像したくはない。
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