Daydream Candy

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「波濤さんはナンバーワンなのに全然気取りとかねえし、バカやって一緒にテーブル盛り上げてくれるもんなぁ……」 「だよなぁ! それに何てったって波濤さんのマジックの腕は超プロ級だし! 話題なくて困ってるテーブルでも波濤さんの華麗テク一発で速効盛り上がるし、まさに神ッスよ!」  波濤の特技はマジック――いわば手品だ。客の至近距離で時折披露される腕前はプロ顔負けの、それは見事で溜め息が出るほどのものだった。まあ実のところ、この波濤の特技というのは彼の熾烈ともいえる人生に付随するものであったわけだが、そういった事情を知っている者はいない。単なる趣味の延長だと思っている者が殆どだろう。  それはさておき、相変わらずにホストたちの愚痴は止め処ない。 「俺、もう龍さんのヘルプに付くの嫌ッスよー! 今日もできることなら波濤さんのテーブル呼んで欲しい」 「俺も! 龍さんはまるで仏頂面だしさぁ、頭ひねって出したこっちのジョークに笑いもしねえから客も引きつっちゃって申し訳ねえのなんのって。当の本人は助け船を出すでもなきゃ、クールに煙草なんか吸っちゃって、脚組んで扇子扇いでるんスよ! てめえはマフィアの頭領(ドン)かっつの!」 「そうそう! あの人、煙草の火も客に点けさせんだぜ!」
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