Red Zone

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 最近は格別な用事がなくとも、時間が空けばいつの間にか二人でこうしていることが多くなった。会って食事をして買い物をして、そしてこの部屋に寄ってから帰宅する。いや、近頃では帰宅するのさえ面倒になって、そのまま泊まってしまうことも多い。言葉に出して認めないだけで、既に熱愛カップルも同然だ。しかも気持ちの比重がどんどん重くなり、今では自分の方が彼を欲しているのは紛れもない事実のような気がしていた。  龍とのデートは、まるで本能に任せた獣のように激しく互いを求めて抱き合うこともあれば、単にテレビや雑誌を見ながら寄り添って過ごすだけの時もある。極端だと思うほどに濃厚な時と淡白な時が交互する。しかも抱かれない時に限って、普段よりもベタベタと甘え、甘やかし――といった濃いスキンシップで扱われたりするから、たいそう始末が悪かった。  今にも唇が触れ合いそうな距離感で観るテレビの内容など頭に入るはずもない。  胸元で甘えるように、ずっしりと体重を預けられ寄り掛かられたり、だからといってそれ以上は何をするでもなく、借りてきたDVDに観入っている様子などを横目にすれば、何ともモヤモヤとした欲情まがいの気分が苦しくてたまらない。そんなふうに焦らされた日の帰宅後は、次にプライベートで会う時までの間が結構な苦痛になったりするから、尚厄介だった。
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