Red Zone

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 まるで乱暴に、癪に障ったように腕を掴まれ、引きずり寄せられ、体位をひっくり返され――気付いた時には組み敷かれていて、波濤は蒼白となった。 「悪ィ……ついその……冗談だって……。言葉のアヤっての……?」  おどけてなだめようと試みたが、そんなものは通用しない。当然か――。  彼の視線は苛立ちをあらわにしていて、不機嫌そのものだ。急に押し黙り、眉間には深く皺が刻まれて、鋭く睨み付けてくる瞳は狂暴さをも伴って、ギラギラと怒りを讃えていた。 「得意……だと?」  冷めた視線からは、明らかに侮蔑の意図が滲み出ている。わざと平坦に、低く抑えた声音がより一層彼の心情を物語ってもいた。 「や、違ッ……そ……んなんじゃ……ねえって……!」 「だからってそんなこと平然と言うか? 仮にもこういう雰囲気ン時によ?」 「……っからっ……悪かったって……! ……んな、つもりで言ったんじゃねえし……」 「じゃ、どんなつもりだ。詳しく訊きてえもんだな」 「どんなって……だから言葉のアヤっつったろ! 意味なんかねえしっ……いちいちしつけんだよッ!」
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