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Double Blizzard
club-xuanwuのオーナーである粟津帝斗が、ホストの龍を伴って少々遅い店入りをしたその時だった。
「オーナー! おはようございます。ちょうど良かった! 今……お電話しようと思っていたところなんです」
フロアマネージャーを務める黒服の男が、何やら焦った様子で駆け寄って来たのに、オーナー帝斗は首を傾げた。
「どうした。何かあったのか?」
とにかくは話を聞かんと穏やかにそう尋ねる。
「はい、あの……波濤さんが……」
少々蒼白な表情で黒服がそう切り出した瞬間、
「波濤がどうした」
帝斗の背後にいた龍が険しい表情でそう訊いたのに驚いて、黒服の男はますます焦った声音を震わせた。
「はい、あの……少し前にご新規で男性のお客様が四名様ほどお見えになられたんですが、その方たちに連れて行かれてしまいまして……」
その説明に帝斗は無論のこと、龍がただならぬ様子で眉をしかめた。
「連れて行かれたってどういうことだ!」
そう問う声もそこはかとなく厳しい。黒服はオタオタとしながらも、できるだけ詳しい状況を語り伝えた。
◇ ◇ ◇
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