Flame

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「波濤さん! 龍さんも……!」 「うわ、やっと会えた!」 「酷いッスよー! お二人とも突然辞めちゃうなんて、もうもう……俺らマジでパニくりましたって!」  開店前のホストクラブxuanwuの店内が一気にざわつきを見せる。今日は月一回の合同朝礼が行われる日なので、同伴等もなく、ホストたちが全員集合していた。  この店のナンバーワンを張っていたホストの波濤と龍がひと月前に突然引退して以来、初めて顔を見せたことで、店内はてんやわんやの大騒ぎとなったのだ。  昨年の秋に六本木店からこの本店へと編入してきた龍は、その愛想のなさと仏頂面から、来た当初は他のホスト連中から敬遠されていた変わり種である。客に媚びることもなく、無口だから態度も横柄だと思われていた彼は、付いたあだ名が”頭領(ドン)”であった。  まさか本当にマフィアの頭領を父に持ち、ファミリーの一員であったということは、さすがにホストたちもあずかり知らぬところだ。
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