Nightmare Drop

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Nightmare Drop

 いつでも笑顔でいなさい。  笑う門には福来たる――というんだよ。  幼い日に自らを抱き上げながらそう言って微笑んだやさしい人の面影を、一日たりと忘れたことはなかった。 ◇    ◇    ◇  頃は七月半ば――――まだ龍と波濤が出会う三ヶ月ほど前の真夏の出来事だ。ホストクラブxuanwuでは、夏祭りと題して浴衣イベントが行われていた。  ホストは勿論のこと、お客も――この日だけは皆が普段の装いを一変して、和装で参加するというものである。ベテランホストをはじめ、特に店に入ったばかりの新米ホストたちにとっては、初めて体験するイベントの準備に追われて、ここ数日は大忙しの日々を過ごしていた。 「お! かっけーじゃん! お前、どこで調達したのよそれ!」 「調達っつーか、俺のは借り物だよ……。いきなし浴衣で来いなんて言われても、どこでどんなの買っていーかなんて分かんねえしさ。困ってたらオーナーがレンタル衣装店紹介してくれた」  まあ、大概はそれが普通である。
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