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ー助けてくれー
声を出す体力も尽きていた僕は、藁をもすがる思いで、その猫に手を伸ばした。
黒猫は、その場で立ち止まって、じーっとこちらを見ている。
ー助けてあげようか?-
その目がそう言ってるような気がした。
ー頼む。親父と、母ちゃんと、彼女を・・・・・・ー
最後の気力を振り絞り、心の中で必死に叫んだ。
言葉は通じなくても、想いは通じる、と、そう信じて。
暫くその場を動かなかった黒猫は、急に視界から消えた。
ー助けてくれないのかー
意識が途切れかけ、もうダメだ、目を閉じてしまおう、と思った。
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