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安堵
目が覚めると、音楽室の様な、小さな穴がいっぱい開いた白い板と、二本並んだ蛍光灯が見えた。
腰を少し曲げた、白衣の天使が何かしているのが辛うじて視界に入る。
ーここは、病院?-
そう言おうとしたが、喉から出てきたのは、微かなうなり声だけだった。
「あら、気が付いたのね」
僕の声に驚いたように、その看護婦さんが振り向いた。
「分かりますか?あなたは昨日の朝、事故に遭われたんですよ」
年季の入った、母と同じ位のその天使は、顔を近付けると耳元で囁いた。
僕には、小さく頷く事しか出来なかった。
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