プロローグ

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「ごめん、他に好きな奴できたんだ」 そういって部屋をでていった彼の背中見送った。 泣いて止める奈々子を無視してゆっくりと扉が閉まる。 これが1度目。 もう二度と見ることはない。 そう誓ったその男の背中を、奈々子は扉の外から眺めていた。 真っ白なドレスを身にまとった新婦と父親がバージンロードを歩いていく、そして男は振り返り新婦へと手を差し出し笑顔を向け二人で神父の前に立つ。そして、あの日と同じようにゆっくりと扉が閉まった。 これが二度目。 黒いスーツに身を包み、式場から聞こえる神父の言葉を聞きながら奈々子は次の準備の為にその場から離れた。 「・・・・・くそ野郎」 パイプオルガンに讃美歌、幸せな場所と不釣り合いの言葉を呟いて。
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