マリッジブルー

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*** 「大丈夫か?」 「はは、すみません。田中部長には、いつも情けないところをみられてしまって……」 会社の近くの公園。 遊具が少しとベンチが、二つ程度の小さな公園の為、夜になると誰もいない。 田中は、奈々子をゆっくりとベンチに腰を掛けさせた。 武と離れ、すっかり涙を乾いた奈々子は乾いた笑いを浮かべる。 「俺にそんなこと気にするな。俺が聞いてるのは、お前が大丈夫か大丈夫じゃないかだ」 奈々子は、弱い所は誰にも見られたくなかった。 立派に仕事もこなせる、自立した女性でいたかった。 元カレの事で、他人に涙を見せるなんて……奈々子はしたくなかった。 でも、既に田中には弱い所をみられている。 無理に強がる必要もなかった。 「……。大丈夫じゃないです……」 「素直でよろしい」 「子ども扱い……しないでください……」 そう微笑む奈々子を、田中は優しく抱きしめ、ゆっくりと頭を撫でてくれる。 「子供扱いなんてしてないよ。ただ、俺の前で素直になってくれるのが嬉しいだけだ」 「なんですか……それ」 「ん……今は、いいよ」 それ以上何を言わず田中は、奈々子に胸を貸した。
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