1397人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
奈々子が落ち着いたのを見計らい、田中は照れくさそうに笑いながら体を離した。
それをみた奈々子もつられ「ありがとうございます」と照れ笑いを返す。
田中は腕時計に目をやると、時計の針は23時を差し掛かっていた。
「うーん。意外と時間たってるな……今度旨いもの食いに連れて行ってやるから、今日はファミレスで我慢しろ」
「え!田中部長……仕事は?」
「お前はそんな心配しなくていいんだよ。誕生日の部下を一人で飯、食わすわけにはいかないだろ」
「帰る前には、一人で早く飯食って寝ろって言ってたじゃないですか」
「そうだったか?」
そうですよ。と頬を膨らます奈々子の頭を、一回ポンと叩き田中は歩き出す。
武の件があってから、田中には色々迷惑をかけている。
申し訳ない気持ちを感じながらも、奈々子は寄り添ってくれる田中の傍が居心地がいいと感じるようになっていた。
「おい。松下、置いていくぞ」
振り返り、自分を呼ぶ田中の元へ笑顔で駆け寄り隣に並び、ファミレスへと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!