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湯船に水を張ったら、窯から灰を取り出す。昨晩の燃え残りを窯から出してやらないといけないのだ。灰はとっておいて、畑に使っていたと思う。
湯を沸かす時、いきなり薪に火を付ける事は出来ない。まずはマッチからだ。
子供の手にマッチ難しく、上手に擦ってやらないと火が着かなかった。
運良く火が着いたマッチは軸を横向きか、やや斜めに持たなくてはならない。何故ならローソクと違って上向きにしたマッチは『火がすぐに消えてしまう』からだ。
やや熱いのを我慢して、マッチの火をクシャクシャにした新聞紙に移す。これは簡単に燃え移ってくれた。
そしたら今度は、その新聞紙の火で小枝に火を移すのだ。
ところが、これが意外と難しい。子供の頃に母親について散々やってみたが、此処の着火が最も難しかった。小枝が燃える前に新聞紙が燃え尽きてしまうのだ。
そして、どうにかこうにか小枝に火がついたら、細い薪に種火を移し・・・そうして、少しづつ火力を大きくして、やっと最後に『真打ち』登場なのだ。
薪の火力は凄い。
散々手間の掛かる燃料ではあるが、一度燃えだせば大きなエネルギーを生み出す。
頃合いを見て、薪を追加していく。
最初は単に赤かった炎が、少しづつ色の変化を見せ始める。燃焼温度が高くなっている証拠だ。最も温度が高い色はミドリ色をしていたように記憶している。
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