理想の萌えシチュ

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 それから、バレンタインをきっかけにして倫子と蓮田くんが付き合い始めたのは自然な流れなわけで。  「美唯、お願い!! ビー部の練習が終わるまで教室で待つの、付き合って!!」  そう言われるのもまぁ、予想の範囲内だった。んだけど……私と倫子と浩二はもちろん帰りの方向は同じなわけなんだけど、自転車通学の蓮田くんは違ってて。  「じゃあねー、美唯、浩二ー! また明日ー!!」  「またなー」  倫子は蓮田君の自転車の後ろに立ち、颯爽と私と浩二の前を走り抜けて行った。  ちょ、ちょ、ちょ……待ってよ。なんで私が浩二とふたりで帰ることになってるわけ? 『キミウソ』気取って勝手にアオハルしないでくれるー! おかしいだろ、こらーっ! てか、その前に道路交通法違反ー!  倫子いわく、蓮田くんの家は反対方向にあるから歩いて送らせるのは部活の練習で疲れてる彼に申し訳ないからってことなんだけど。  「だったら、部活終わってから待ってなきゃよくない? そしたら蓮田くんは倫子送ることなくさっさと帰れるわけじゃん」  「だってぇビー部は朝練あるから学校一緒に行けないし、せめて帰りの時間だけでも一緒にいたいんだもん! 土曜だって部活だし、日曜だって時々試合が入るしさぁ、少しでも好きな人といたい私の気持ち、分かってよぉ!!」  乙女心全開で倫子に言われてしまえば、グッと喉を詰まらせるしかない。いいわよいいわよ、私が犠牲になればいいんでしょ。ぶっきらぼうで無口な浩二と一緒に帰るぐらい、なんともないわよ。  そんなわけで、私は今日もいつものように浩二と一緒に帰るため、倫子と二人誰もいなくなった教室でビー部の練習が終わるのを待ってるのだった。
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