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「は、はい」
真理愛は言われた通りに、そのイスに腰掛けた。これから、何が起きるのだろう……? 真理愛がまた身を固くしていると、これまで真理愛を案内していた無精髭のゲリラが、洞窟の廊下の前方を見つめながら言った。
「もうすぐ、俺たちのリーダーが来るから。それまで少し、待っていてくれ」
ゲリラたちの、リーダー……! 真理愛の心臓が、ドキドキと高鳴った。いよいよ、あたしがここに「連れてこられた」目的がわかるのね。たぶん身代金の要求とか、そういうことだと思うけど。今のところ、思ったよりあたしに危害を加えようとか、そういう感じではないけど……。
真理愛は、高鳴る心臓の鼓動で頭の中までがガンガンと揺れるような感覚を覚えながら、「その時」を待った。そして、目の前にいた無精髭のゲリラが、「すっ」と姿勢を正したのがわかった。
「リーダー、お疲れ様です。こちらが、例の女です」
軽くお辞儀をした無精髭ゲリラの脇を通って、長身の男が姿を表した。その男は真理愛が想像していたよりずっと若く、30代か、もしかしたら20代後半かとも思えた。「青年」と言っていい年齢に見える長身の男は、痩せ型で、長い髪を後ろに束ね。そしてやはり「リーダー」だと思える、精悍な顔つきをしていた。
「どうも、初めまして。俺はこの組織をまとめている、本城と言います」
これが、真理愛とゲリラのリーダー・本城タダシとの、最初にして、運命の出会いだった。
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