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「本城」と名乗ったその青年は、真理愛の向かい側にあるイスに腰掛けた。
「京野真理愛さん、ですね。今日はこんな形でここへ来てもらうことになって、本当に申し訳なく思ってます」
本城はそう言って、イスに座ったまま真理愛に深々と頭を下げた。意外な展開に、真理愛はどうしたものかと思ったが、とりあえず「は、はあ」と、曖昧な相槌を打った。
本城は顔を上げると、今度はキリっとした真面目な表情になり。そして、真理愛の目を真っ直ぐに見つめながら言った。
「正直に言います。俺たちは、あなたに危害を加えようというつもりは、一切ありません。あなたの身の安全は、俺が保障します。安心して下さい」
自分を真っ直ぐに見る本城のその言葉に、「嘘はない」ように思えた。が、真理愛はここに来る前、岩崎がゲリラたちに銃で殴られるのを見ていた。危害を加えるつもりはないという言葉を、そのまま鵜呑みには出来なかった。
黙ったままの真理愛を見て、本城は次の言葉を切り出した。
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