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 本城が真理愛と一緒に「部屋」を出ようとすると、ずっと入り口に立っていた無精髭ゲリラが、「じゃ、ここから俺が行きますか」と声をかけてきた。真理愛の案内は、自分がやるという意味だろう。しかし本城は、それをやんわりと断った。 「ああ、大丈夫。俺が自分で案内するよ。俺の口から、ここのことを説明したいんだ」  そう言われて無精髭ゲリラは「わかりました」と素直に引き下がったが、部屋を出る時すれ違いざまに、真理愛はそのゲリラが少し「面白くなさそう」な顔をしているような気がした。  ……無精髭さん、あたしの案内役は自分の仕事だ、って思ってたのかしらね。でもやっぱり、この本城っていう人の言うことには、逆らったりしないのね。それだけ、この人が本当に「リーダーらしい人」、他の人から信頼されてるってことなんだろうなあ……。  そして真理愛はいつの間にか、自分が「ゲリラの人質」という立ち場であることを、感じなくなっていた。学校へ行く途中で車を止められ、運転手に銃を突きつけ、目隠しをされ強引にここまで連れて来られたのは間違いない。しかし、想像していたような「人質」とは、全く違っていた。むしろ、最初に本城が言ったように、自分は「大事に扱われている」と思い始めていた。  真理愛は本城の後について、先ほど入ってきた廊下のように舗装された洞窟を歩き始めた。 「ここはもともと、こんな風に山の壁に幾つもの穴が開いているようなとこでね。そこを自分たちで掘り進めて、こんな感じで生活出来るようにしたんです。もちろんまだまだ、改善の余地はありますけどね」  
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