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真理愛は歩きながら、改めて洞窟の壁や床などをじっくり見て、少し手で壁に触れてみたりもした。
確かに、元は山の中に開いた洞窟なんだろうけど、その壁や地面を削ったりして、なめらかにしてるのね。最初はどんな状態だったのかはわからないけど、ここまでするのには時間かかっただろうなあ。ちゃんと入り口から奥まで、明かりが灯されてるし。
そこで真理愛は、少し疑問に思ったことを聞いてみた。
「あの……こういう明かりの電源とかは、どうしてるんですか?」
真理愛から初めての「質問」をされ、本城は嬉しそうに答えた。
「ああ、幾つか発電機を用意して、それでなんとかまかなってます。旧式の燃料で動かすやつなんで、必要な時以外はできるだけ切るようにしてますけどね」
へー、と思いながら、真理愛は明かりと明かりを繋いでいる、細い電気のコードを見つめた。昔ながらの化石燃料なんかも、政府とSG社が管理してるから、ゲリラが手に入れるのは大変なんでしょうけどね。市民への配給をやりくりして、使ってるのかなあ。
そんなことを考えつつ歩いている真理愛を見て、本城はニコニコと微笑んでいた。
「いやあ、真理愛さんからそんな風に質問してくれるのは、嬉しいなあ。俺たちの生活に、いくらか興味を持ってくれてる、ってことですかね?」
そう言われて真理愛も、”うん、たぶんそうだ”と、内心思っていた。あたし、この人たちの生活を、知りたくなってる。この本城という人の元で、市場で見たように、生き生きとした顔をしてる人たちのことを。
本城は「廊下」を出ると、さっきまで真理愛も見ていた「市場」を、嬉しそうに手で示した。
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