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「それじゃあ、ここでオレがおめぇを殺しても文句はねぇってのかい? 」
正弘の皮肉に、聖は吠える。
「オレは、野垂れ死んでも構わない! だが、意味のない生き方はゴメンだ!! 」
そう吐き捨てると、聖は身体に巻き付けていたシーツを一気に剥ぎ取った!
そして、それを振り回し、周りの男達の視界を一瞬だけ撹乱する。
「っ!?」
突然の不意打ちに、男達の反応が遅れる。
聖はそのままシーツを男達の頭上へ放り投げると、低い姿勢を取り、脱兎のようにその場を駆け出した。
裸だどうだと、この際そんなのはどうでもいい。
とにかく、今は逃げるのが先だ!
だが……
「やれやれ、おめぇを捕まえるのはこれで三度目だぜ」
正弘の腕の中、またしても聖は捕らえられる。
「くっそ! 離せ!! 」
すかさず膝蹴りを繰り出そうとする少年に手を焼き、さすがの正弘も激高する。
「いい加減にしねぇか! オレぁ別に、おめぇをとって食いやしねぇよっ」
「親分!? 」
「頭っ! 」
周囲の男達が慌てて、聖を引き離そうとするが。
「こいつには、オレの退屈しのぎの相手をしてもらう。いい手慰みになりそうだ。小僧、おめぇの名前は何てんだい? 」
逃げられぬと悟り、聖はギリギリと歯軋りをするような面持ちで答える。
「――――聖だ」
「そんなツラするない。せっかくの別嬪が台無しになっちまうぜぃ」
そう嘯くと、正弘は本当に愉快そうに笑った。
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