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「そうそう、こちらの先生は立派な大学を出た、その道のプロだ。もちろん官庁にも知り合いがいらっしゃるエリートだ。その先生が、ここは確実に十倍以上の上昇が見込めるから購入した方がいいと言ってるんだ。お前みたいに、ろくに中学も行ってねぇようなガキが知ったかぶりしてんじゃねーよ」  そう言うと、男達はまた(あざけ)る様に笑った。 ――――その立派な先生は、省庁でトラブルを起こしてクビになり、結局ヤクザの顧問くずれになってるクズじゃねぇか。  そう思ったが、聖はグッと堪える。  この屋敷に住むようになってから半年が経つが、その間に、聖がついつい要らぬことを言うたびに、陰湿な仕返しを受けてしまった。  口は禍の元というが、まったくその通りだ。  さすがの聖もそれを学び、最近では、本音をもらすことを控えている。  この応接間には、客の為に茶くらい運べと命令されて、渋々来たに過ぎない。  聖には、わざわざ親切心で、こんな事を言ってやる義理もない。 (……ふん、それじゃあ塩漬(・・・)けになった土地を抱えて、そのまま全員で山に埋められちまえ)  チッと舌打ちをして、聖はその場を去ろうとした。  だが、男の一人が聖の手を掴み、グイッと抱き寄せる。 「っ! 」 「ふ~ん、オレは初めて見るが、お前、本当に男にしておくには惜しいような別嬪じゃないか? しかし、こんな華奢な身体で、マジで親分の相手してんのかい? 」  カッとして、考えるより先に肘鉄を、その腹に突き刺していた。  聖にやられた男は悶絶してうずくまるが、抵抗できたのはそこまでだった。  取り囲んでいた男達の方は、こんな事には慣れている様子で、聖の抵抗など歯牙にもかけず、その華奢な身体をテーブルの上へ組み伏せる。 「お前、またやったな! 」 「うるせぇ! 今のは、そいつが悪ぃだろうが!! 」 「今度逆らったら、タダじゃあおかねぇって言ったよな! 」 「離せ!離せよ!! 」  蹴りには自信があるが、この態勢ではさすがにムリだ。
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