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 そう考え、直ぐに結果が出た。 ――――どうにもならないな。  聖の答えは、そう言っている。  完売したとしても、所詮は二束三文だ。  せいぜい三日の糊口(ここう)を凌いだに過ぎないだろう。  そう考えると、こうして正弘に拾われ(極道とはいえ)寝食を提供してもらったのは、幸運かもしれない。  しかも、100万円でテストしてみて、それで結果が良ければ、湯坊主ではなく正式に聖の身の振り方を考えるという。  盃を貰い、自身も極道の仲間入りを果たしたなら、これまでのように、安易に聖へ手を出そうとする者はいなくなるだろう。  組で、認められるような男になりさえすれば、もう誰も聖を侮辱しない。  色子だ何だと、嫌らしく穿(うが)った色眼鏡で見る者もいなくなる。 「やってみるか……」  今更、極道だカタギだと、そんな事はどうでもいい。  どっちにしろ、聖には守りたい世間体だの家族だのは一切無いのだ。  ヤクザだ何だと後ろ指差される人生も、どうせ一人きりだ。  極道になるなら、それも上等だ。  道連れなど、最初からいないのだから。  あの男が100万円をやると言い切ったのだから、ウソではないだろう。  聖なりに頭を使い、必ず結果を出してやる。  そして、聖をバカにして来た連中を、まとめて足元へ平伏(ひれふ)せてやろうではないか。  天黄正弘――――不思議な男だ。  聖の事を、欲望を抜きにして構いたがる男など初めてだ。  先程のやり取りを思い出し、聖は何とも言えない気持ちになる。  今はいない母親の言葉が懐かしかったのか、もう一度言ってくれとせがむとは。 「としょりのくせに、わらすみてぇでめんけぇな」  つい、またお国言葉が口からこぼれてしまい、聖は一人苦笑していた。 
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