EP1 Preparation Start ③

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「話を聞く限りでは問題は無さそうだ。そして大企業のトーラムマインドならいざという時の金銭的援助も心配ないだろう」   「それはそうだが!」   「このまま彼を乗せて万が一の事が起きた場合、それがトラウマとなってラフトボールを忌み嫌うようになったのなら、俺はそっちの方が嫌だ」   枦夢が目を細め、じっと力強く青年を睨めつけた。  説得は無駄と悟って観念したのか、眼鏡の青年は振り返って宇佐美を睨みつける。口にしなくてもわかる、「乗るな」と言いたいのだ。  チームメイトの大事だ、心配になるのはわかる。  あえて何も言わないのは彼なりの配慮だろう。    対して九重義晴は期待の眼差しで見つめている。こちらは「乗ってほしい」と思っているのだ。    そして枦夢は、どちらでもない。ただ宇佐美の決断を待っている。   「僕は……」    ふと、ハミルトンを見上げる。  義晴の言う通りなら、ACシステムを使えばラガーマシンを自分の身体にすることができる。そうすれば、走る事ができる。 それは、夢のようだと思った。   「僕は、乗りたい……です」    眼鏡の青年があからさまな落胆の溜息を吐いた。  宇佐美はその事に気付く事はなく、声を荒げ、肺の空気を全て押し出すように一気にまくしあげる。       
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