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「はい、見えます」
「そこの手前にエンドラインという線が引かれている。そこまでボールを抱えて走ってみろ」
ゴールポストをキッと見つめる。距離は大体160m前後、掛かる時間はおそらく10秒ぐらいだろう。
既に初速を超えて平均速度で走っていた宇佐美に助走は必要なかった、そのまま全力で一心不乱に走り最高速度でフィールドを駆け抜ける。
何よりも速く、風よりも速く、誰も追いつけないスピードで、向かい風の壁を破砕しながら、赤い残影のみを後ろに置いてまっすぐエンドラインを目指して、超えていく。
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その様子をモニターしていたトレーラー内、及びフィールドで試乗会に参加していた他の面子、指導役の熊谷・グラムフェザーのメンバー。そして何よりも上那枦夢が唖然としてその赤いラガーマシンを見つめていた。
しばらくの沈黙の後、速度を測っていたトレーラーから驚きの報告がオープンチャンネルでその場にいる全員に届く。
「時速……80kmオーバー」
それは現在稼働しているラガーマシンの平均速度、その約2倍であった。
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用語解説
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