EP1 Preparation Start ⑤

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EP1 Preparation Start ⑤

「ど、どうでした?」    久方ぶりに無我夢中で走った宇佐美は、エンドラインを超えたあたりで呼吸を整えていた。  元は走るのが大好きな健康優良児でも、4年もブランクがあれば肺活量は衰えるもの、苦しくはあっても懐かしい疲労感をエンジョイせざるを得なかった。   「あ、あれ?」    やや酸欠で熱くなった頭が冷めてくると、周りの目が一様にこちらを向いている事に気付く。  何か間違っただろうか? 実は走るところを間違えた? そもそもエンドラインはもっと違う場所だった? それとも自分は今全裸で恥ずかしい格好をしているとか?    段々思考がおかしいものに変化している。  羞恥心に駆られた宇佐美は、その場で土下座をして全力の謝罪を行う。   「す、すいませんでした!!」    今の姿が一番恥ずかしい事に気付くのは、彼の沸騰した頭では到底無理である。    その滑稽な姿を見て我を取り戻した枦夢がようやく声を掛ける。   「すまない、少し驚いてしまった。ところでどんな気分だ?」   「えっと、すっごく気持ちいいです!」   「そうか……因みに今のがタッチダウンだ。ボールを持ってエンドラインを超える、これで6点を獲得できる」   「今のが」       
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