EP1 Preparation Start ⑤

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「見たところ、ハミルトンに振り回されてることもなさそうじゃの。つまり上原君はハミルトンを乗りこなしておるわけじゃ……ほっほ、これは掘り出し物じゃて、紹介したら孫も喜ぶじゃろ」    思わぬ収穫を前にして、義晴もまた、枦夢とは違った笑みをその表情にうかばせるのだった。      ――――――――――――――――――――      宇佐美は今悶えていた。  土下座した事による羞恥心が今更やってきたのだ。   「穴があったら入りたい!」    そんな宇佐美の心境には目もくれず、枦夢が次の指示をだす。   「次は少し本物のラフトボールを体験させてやろう。ボールをこっちに渡してくれ」   「は、はい」    何度かパス練習をするうちに身についた腕の振りでボールを投げる。ボールは枦夢がしていたみたいにジャイロ回転は掛からず、歪に回転しながら枦夢の腕に収まった。  自分だったらあのボールは落としていたかもしれない。   「では今から俺がお前を抜いてタッチダウンを取る。止めてみろ」    つまりは実戦形式のタイマン、宇佐美としても本場の走りが見られる事に興味を惹かれない筈がない。   「分かりました、いつでも!」    枦夢はフィールドの中央へ向けて歩きだす。ガシャッガシャッと歯車が噛み合う音や装甲同士がぶつかり合う音等をたてながらクォーターライン(フィールドを四分割した時のライン)の所で止まる。   「では、行くぞ」       
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