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徐々に強くなっている。歩行、キャッチ、ブースター、フェイント、この短時間で目の前にいる赤いラガーマシンに乗った少年は目に見えて強くなってきている。
(面白い、さあ次は何を見せてくれる)
宇佐美が駆ける。ブースターは使っておらず、そのまま高速の走りへ至る。
最初は驚きしかなかったが、慣れてしまえばその走りも対応できる。正面に回って進路を妨害する。
右か左か、どちらからくるか。
宇佐美の機体が左にぶれた。
(右!)
さっきと同じフェイント、余裕をもって対応に入る。流石にヤケになってきたのか? と枦夢が感じたその時、ハミルトンの背中についているブースターが火を噴いた。
(ここで加速!? いや、回転か!)
ブースターの向きが斜めになっているのを見て、加速ではなく強引な姿勢変更であることに気づいて伸ばした腕を戻そうとするが、一度流れた力の向きはそう簡単に戻ることはない。
その間にも宇佐美は枦夢の目の前で反転して左から抜けようとする。
最早自力で戻ること叶わず、枦夢は左手首の姿勢制御スラスターを吹かして、宇佐美同様強引に体勢を変える事に務める。
(間に合う!)
何とか間に合う、そう確信した。だが宇佐美のアクションはまだ終わっていない。
今度は思いっきりしゃがんだ。
(跳ぶのか?)
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