EP1 Preparation Start ⑤

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 予想通り、跳んだ。しかしハミルトンの跳躍力では枦夢の機体を跳び越せない。枦夢はハミルトンを抑えるべく、自身も跳び上がってハミルトンを捕まえようとする。  ハミルトンの胴体を掴むその瞬間、ハミルトンの両手両足から噴射炎が吹き出て空中で加速が始まった。  空中でジャンプしたかのように急加速で飛び上がり、枦夢の機体を跳び越えていく。 (あれも、ブースターなのか)  一般的なラガーマシンは背中に加速用のブースター、両手両足に姿勢制御スラスターをつけているもので、枦夢の機体もそうなっている。ゆえにハミルトンもそうだと思っていたのだが、どうやらハミルトンという機体はどこまでも速く走る事にしか興味がないらしい。  背中でハミルトンが着地した音が聞こえる。間もなく再び走り出してタッチダウンをとるだろう。 (やるじゃないか、だがそれではまだ完璧ではない)  枦夢はレバー横のスイッチをONにする。  ―――――――――――――――――――― (やった! 抜いた!)  今の宇佐美がだせる最大の技、素人考えの雑なものであるが何とか上手くいった。もしこれが試乗会でなく普通の公式戦なら防がれていたかもしれない、素人ゆえの油断が幸をそうしたのだ。     
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