EP1 Preparation Start ⑥

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 彼女達が代表で来ているだけなのかもしれない。そう思おうとしたのだが、その願望は義晴にあっさり砕かれてしまう。   「おらぬよ、ここにいる3人だけじゃ」   「えっ!? もしかしてラフトボールて3人でもできるんですか?」    微かな望み、しかし。   「いや最低でも13人は必要じゃの」    つまりあと10人足りない。   「最近できた新しいチームじゃからのフォッホッホ」    笑い事ではないと思うのだが、義晴は気にしていないのか、そのままフィールドを去っていった。  振り返る。   「自分は語りたいんすよ、ハイオクよりも軽油の方が美味しいと!」   「どうでもええわ!!」    まだコントを続けていた。    恐ろしい事にクイゾウとかいうロボット、ガソリンの種類は問わないらしい。バイクなのに、軽油を飲むのか。   「大丈夫かなぁ、これ」    予想外にも宙ぶらりんな状況である事を理解した宇佐美の心には、先行きへの不安が付き纏うようになった。  そしてスマホには、母から「お父さんの自慰用のティッシュ買ってきて」というメッセージが届いていた。  すこぶるどうでもいい。    ――――――――――――――――――――      用語解説    タッチダウン……ボールを持ってエンドラインを超えること。  ラフトボールの花形である。     
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