EP2 Obtaining License ①

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「あっそうだ、ねぇ宇佐美君、今夜空いてるかしら? ささやかながら歓迎会をやろうと思ってね」    宇佐美が壁際まで寄ってから立ち上がった所で、祭がふと思い出したように尋ねた。   「はい大丈夫です。お気遣いありがとうございます」   「気にしなくていいわ、それにクイゾウの中身も紹介しといた方がいいしね。場所は後で送っておくね」   「は、はい」   「じゃ自分もおさらばっす?」    二人が去っていった後、会議室には壁に寄りかかったまま立ち尽くす宇佐美が残された。  祭の一言がずっと頭の中を駆け巡っており、中々1歩を踏み出せずにいたのだ。   (……………………  ………………  …………  ……中身?)      ――――――――――――――――――――      18:15    予定よりやや速く着いてしまった。  場所は美浜市の西側にある住宅街、都市開発で後回しにされたためか、未だに古い日本家屋が並び建っているのが特徴だ。  その中で端にある一つの家、すぐ隣には琵琶湖から延々と続く大きな川が流れている、その立地に『九重』という表札が掲げられた日本家屋がある。       
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