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EP2 Obtaining License ②
惰性に満ち満ちた日々。
良いことも、悪いことも、大して起こることのないマシュマロのような毎日。おそらく目標や将来の夢があれば何か違うかもしれない。
けど自分にそんなものはない。だが周りにはある。
夢や目標に向けて努力する周りの人間達を羨望と嫉妬の目でしか見られない自分に腹が立つ。
自分だけ置いていかれるような、そんな焦燥感を募らせる毎日がこれからも続いていく。
そんな日々を過ごす俺こと『枝垂 健二』がラフトボールを始めたのは、なんて事無い、片足不随の友達がラフトボーラーになったのがきっかけだった。
――――――――――――――――――――
四月半ば、桜の花もとうに散って葉桜となった季節。
私立洛錬高等学校にゴールデンウィークという連休が近づいてきた。
「宇佐美がラフトボール始めたってほんまかいな?」
昼休み開始早々、2年2組の教室にて友人の原 武尊が枝垂健二の元へと突撃してきた。
茶のブレザーやシャツをきっちり着こなして生徒指導に目をつけられないよう気をつけている。
健二はやや億劫な面持ちで顔を上げる。
「そうらしいな」
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