40人が本棚に入れています
本棚に追加
「下等市民を嘲笑いにきたのですよ。何ですかそれは、まともに歩けないとは赤ちゃんですか?
あの障害者は立派に歩いてるというのに、あなたはまだあんよが下手ときた」
「うるせぇ! あっちへ行きやがれ!」
手で追い払うと、漣理は「やれやれ」とだけ残して走り去って行く。その走りに無駄はなく滑らかなものであった。
「クソったれ!」
もう一度立ち上がって、転ぶ。
何度もそれを繰り返し、教習が終わるギリギリになってようやく上半身の固定が甘い事に気づいてそこを直す。すると驚く程簡単に歩行が成功した。
冷静になってみると簡単な事だった。
こんな事にも気付かない程自分の思考は凝り固まっていたらしい。
――――――――――――――――――――
8日目、2回目の実機演習は初日と同じく歩行訓練だった。
祭とクイゾウ、漣理は既にものにしたらしく、3人でミニゲームを行っている。
他のメンツも徐々に走る事に慣れてきており、どんどん色々なアクションを試す者が増えてきた。
宇佐美は変わらず歩行のまま、というよりはひたすら歩行を繰り返しているようだ。走る前に片足ペダリングをモノにしたいのだろう。
そして健二は、未だ走る段階にはきていない。
最初のコメントを投稿しよう!