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周りが自由にアクションを繰り返しているのを見て胸の中がザワザワと喚き立つ。自分が笑われているように感じる。
走ろうとすると上半身の固定が疎かになって前に突っ伏してしまう。
何かヒントはないかと教官の講習を思い出そうとするも、何一つ頭に浮かばない。それもそうだ、何故なら健二は講習のほとんどを寝て過ごしていたからだ。
ゲームでは説明書を読まずに体で覚えるタイプ、今までそうしてきたから今回もそれで大丈夫とタカをくくっていたらこの様である。
その日は何とか走る事に成功したが、他のアクションはできなかった。
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9日目、授業が終わってから宇佐美が校門まで行くと、そこには武尊しかいなかった。
学校がある日は武尊と健二が校門で宇佐美を待ってから、3人で教習所へ行くのが日課となっていた。
しかしその日は武尊だけだった。
「あれ? 健二は?」
「HR終わるなり予定あるからつって帰りおったわ」
「そうなんだ」
宇佐美は健二と武尊とは別のクラスである。宇佐美だけは障害者用の特別クラスに通っていた。
「嘘……だよね?」
「多分な、教習所も嫌々行っとったみたいやし」
「だよね、大丈夫かな」
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10日目、この日も健二はこなかった。
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