EP1 Preparation Start ④

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EP1 Preparation Start ④

 リフトを使って、ハンガーに掛けられたハミルトンの肩のあたりまで上がる。程なく人間でいう所の肩甲骨の間からコックピットブロックが開いて中からカプセルケースが出てきた。  人一人分入るくらいの小さなケース。   「ここに入るんですか?」   「ええ」    宇佐美は隣でツナギを着た整備士の女性に尋ねる。  彼女は朗らかに微笑みながら頷いて、宇佐美がカプセルケースに入るのを介助してくれた。  意外と慣れた手つきで、もしかしたら看護師や介護の仕事をしていたのかもしれない。    後で聞いた話だが、彼女は介護福祉士の資格を持っているらしい。    カプセルケースがハミルトンに収納される、すると周りは真っ暗になり、そのうえ狭いゆえに身動き一つとれなくなるので、ふつふつと胸の内から恐怖が湧き上がる。   「それでは上原君、目をつぶって落ち着いてくれ。次にカプセル内にガスを注入するからそれを鼻から吸って欲しい」   「ガス!?」   「人体に害はないから安心したまえ」    そして言われた通り、シューという空気が入り込む音と共に、カプセル内にガスが充満していく。  最初は息を止めていた宇佐美だが、意を決して鼻から思いっきりそれを吸い込む。     
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