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「あ、せっかくカラオケルームですから歌でも唄います?」
ニコッとして真人が言うと、
「ハハ。私はいいです。下手なんで」
首を振るマーメイ。そして、
「美友はすごく上手なんですよ。プロレベルです」
と加えた。
「双子だもん、同じじゃないんですか?」
不思議そうに聞く真人に、
「変なところが違うんですよ」
と笑って返すマーメイ。
時を同じくして、レナルド所沢パレス屋上には斎藤ら公安調査庁と公安警察が乗り込んで通信室を調べていた。公安調査庁は斎藤と通信関係に詳しい調査官の二名、公安警察からは一名(拳銃所持)の計三人。
「すごいですね。これアメリカの暗号通信を読み込んで記録したものをここで解読して中国に送信しているんだと思います」
調査官の男が言った。
「一週間分だぞ。相当な量になるんじゃないか?」
斎藤が聞くと、
「そう年中暗号が飛び交っている訳ではありませんよ。普通の通信がほとんどです。一週間溜めて丁度いいくらいでしょ。それも重要な部分だけチョイスしていると思いますよ」
通信室の外では公安警察の男が拳銃を持って警備していた。
時刻は午後3時前。メイヨウは奈々の通う幼稚園へタクシーで向かっていた。
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