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真人と会ったマーメイは、その後渋谷事務所へ向かってユウ局長と会っていた。
「ちょうどいいタイミングで長谷川に呼ばれたな。で、どうだった。彼はどこまで知っていた?」
局長室のソファーで姿勢よく座っているマーメイは、
「何も知らないようでした」
と答える。
「・・・・・・」
そのマーメイをしばらく凝視するユウ局長。
「何ですか? 私が嘘を言っているとでも?」
と言うマーメイは落ち着いている。
「それはないだろ? 公安の男と接触している姿は押さえているんだ。公安が一般人と接触する時はその相手はエージェントというのが相場だ」
ユウ局長は鋭い目でマーメイを見た。
「ただ、私たちが双子だとは知っていました。でも私たちがどこの組織だとか、どんな活動をしているかには興味が無い様子です。彼は純粋にメイヨウのことを心配していました。本当にそれだけでした・・・」
その局長を真っ直ぐに見て話すマーメイ。
「・・・・・・」
斜め下を見てユウ局長は考え込んでいる。
「困ったもんだなメイヨウには・・・。いずれにしても長谷川については処分を考えなくてはならない。我々に接触し過ぎた」
「そんな。長谷川さんは私たちのせいで離婚騒ぎにまでなってしまい、今大変なんです。小さなお子さんもいますし。でも関係を切れる状況にはなったので、このままでいいと思います」
マーメイは動揺している。
「お前の動きだって問題だったんだぞ、マーメイ」
「・・・すみません」
下を向くマーメイは最悪な判断が下されないように祈った。
「メイヨウはもうアレか・・・」
ボソリと言うユウ局長。
「え?! あの子は私が説得します。それにあの子のスキルだって・・・!」
目を見開くマーメイ。
「暗殺担当はいくらでも見つかる」
「局長・・・!」
「それに今日も連絡がつかない。メイヨウの単独行動にはこれ以上見過ごすわけにはいかない段階まで来ているんだぞ・・・」
「・・・・・・」
マーメイは動悸がしてくるのを感じていた。
「最後通告だぞマーメイ」
非情な眼差しを向けてユウ局長は凄んだ。
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