1・決戦(前編)

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 慌てて真人に電話をする友里。 『友里!』  ワンコールで真人が出た。 『すまなかった。会ってちゃんと話がしたい』 「とりあえずいいわ、その件は!」  急いで車のリモコンキーを押して開錠すると車に乗り込む。 『どうした?!』 「奈々が、奈々が~!!」  友里は動揺して泣き出した。 『奈々がどうした!』 「お迎えに行ったらいないの~! 美由紀さんが、あの女が連れてったの~! 直ぐに説得してぇ~! あぁあぁ~!」 『何だって?!』 「あなたがあんなことするからよ~! あぁああぁあ~!」  取り乱している友里。 『連絡をしてみる。落ち着いてくれ友里。ただ連れ出して遊んでいるだけかも知れないし! 今どこだ?』 「何のんきなこと言っているのよ! 何でかばうのよ! これは誘拐よ!」 『今どこだって言っているんだ!』 「幼稚園の駐車場よ!」 『分かった。気をつけてまず家まで帰って来てくれ! 僕も行く!』  泣きながら友里は震える手で車のエンジンを掛けた。
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