1・決戦(前編)

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 マンションではメイヨウと奈々がカーペットの上で遊んでいた。 「お馬さんやろう、奈々ちゃん」 「おうまさん?」 「お姉ちゃんの背中に乗って」  四つん這いになるメイヨウの上に乗る奈々。 「お姉ちゃんがお馬さん。奈々ちゃんは行きたいところを言って」 「アハハハッ! じゃあタタミのおへやっ」 「ヒヒ~ンッ」  と言って進み出すメイヨウ。 「アハハッ、アハハッ」  喜ぶ奈々が、 「おねえちゃん、みゆきちゃんじゃない」  と唐突に言った。 「え? どうして?」 「わかんなーい」  と言って笑う奈々。 (子供には分かるのね・・・)  と思ったとき電話が鳴った。 (来たわね)  メイヨウは真人からの電話だと思ったら、鳴っているのは佐々木の電話でなくメイヨウ個人の電話だった。 「奈々ちゃん、ちょっと電話出るね」  と奈々を降ろすと、ショルダーバッグから電話を取り出す。 (マーメイ・・・) 「もしもし」 『メイヨウ、今どこなの? 奈々ちゃんがいるの?』 「さすが通信工作員。情報が早いわね」 『いい加減にしなさいメイヨウ。どこ? どこにいるの?』 「あなたのマンションよ。一緒に遊んでいるの」  肩で大きくため息をするマーメイは、渋谷駅のタクシー乗り場に小走りで向かっていた。
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