1・決戦(前編)

6/12

830人が本棚に入れています
本棚に追加
/200ページ
『どういうつもり? 何でそんなことしたの?!』 「いつまでも奥さんが離婚しないからよ! 軽い脅しよ」 『ううっ・・・うっ・・・』  電話越しに泣いているマーメイ。 「何よマーメイ・・・」 『もうあなたを守りきれない・・・ううっ・・・』 「え・・・?」 『今日局長から最後通告を受けた。逃げてメイヨウ・・・。このことがバレるのも時間の問題。今その部屋には監視カメラがあるの・・・』 「・・・!」  辺りを見回すメイヨウ。 『長谷川さんも・・・消される・・・うっ・・・』 「ええ?!」  その時、佐々木の携帯電話が鳴った。  表示は真人からだった。その電話に視線を落とし考え込むメイヨウ。 『銃は持ってる?』 「うん・・・」 『逃げてメイヨウ! もうだめ、逃げて!』 「・・・・・・」  メイヨウは電話を切って呆然とした。 「おねえちゃん、もうひとつでんわがなってるよ~」  奈々がメイヨウのグレーのスカートの裾を引っ張る。 「・・・・・・」  突っ立ったまま、メイヨウは動かない。おもむろにその携帯電話に手を伸ばした。
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

830人が本棚に入れています
本棚に追加