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既に自宅前では車を停めて友里が待っていた。
「マンションだ! 奈々は無事だ!」
自転車から真人が叫んだ。
「運転する代わってくれ」
車内で助手席に移る友里。真人は門扉を開けて自転車を放り込むと運転席に駆け寄り直ぐに車を出す。
「何て言ってた?」
前を見たまま友里が聞いて来た。
「奈々と遊んでいただけだった・・・」
「ホントなの?」
「ああ。奈々とも話をした」
「何を考えてるの、あの女・・・!」
「・・・・・・」
押し黙る真人。その後も無言でレナルド所沢パレスを目指す二人。
いつしか景色は夕暮れとなっていた。
メイヨウは奈々を連れて玄関にいた。
「奈々ちゃん、秘密基地に行こうか?」
「いくいく! どこにあるの?」
「このマンションの屋上だよ。行ったことある?」
「な~い」
「おもしろいよ~。お姉ちゃんが連れて行ってあげる」
「やったぁ!」
ドアスコープを覗いて誰もいないのを確認すると奈々の手を取って廊下に出るメイヨウ。
エレベーターホールまで来ると3人の男がエレベーターに乗ったところだった。不審に思い顔を伏せてそれを見送ると、斎藤と目が合った。
「あ!」と声を出す斎藤。
「開く」ボタンを押すが扉は閉まりエレベーターの表示は下降を始めた。
それを確認すると慌てて非常階段の扉へ駆け寄るメイヨウ。ドアノブのカバーを拳で叩き落とし開錠した。
「こっちだよ、奈々ちゃん」
ドアを開けて階段室へ出ると、屋上を目指した。
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