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2・決戦(後編)
真人、メイヨウの二人に潤んだ眼差しを送るマーメイ。
「メイヨウ、あなた達を狙って局長が工作員を送り込んでいるはずよ」
「真人さんは関係ないでしょ?」
「あるのよ・・・」
マーメイはそう言って真人に目を向けた。
「長谷川さん、公安と通信室に入っていたのね。それもあの中の監視カメラに映っていたらしいわ。さっきタクシーの中で局長に聞いた」
「あ、それは・・・」
口ごもる真人。
「ここは米軍の所沢通信基地を傍受するために中国が建てたマンションだったの。私たちは孤児院で彼らに拾われて育てられた工作員。私はここの通信傍受担当、メイヨウはそのボディガード。ただそれだけの話・・・」
「僕はそんなことどうでもいい。君たち二人にそんな仕事を辞めてもらいたい。普通に暮らして、普通に幸せになってもらいたい・・・」
下を向くマーメイとメイヨウ。
「ありがとう長谷川さん、でもそれはダメ。多くの人が亡くなったのに、」
とマーメイが話している途中で、
「今来る連中を全員片付けて、私は真人さんと逃げるわ」
とメイヨウが遮った。
「メイヨウ、長谷川さんはね、」
マーメイが言いかけたその時、
「うおぉ~っ!」と叫び声がしたと思うと、
〝パンッ!〟
銃声が響いた。斎藤だった。
「あぁっ!」
唸り声を上げて倒れたのはメイヨウだった。
〝パンッ!パンッ!〟
同時に2発の銃弾を受け、後ろに倒れる斎藤。
「・・・!」
撃ったのはマーメイだった。
「美友!!」「メイヨウ!」
叫ぶ真人とマーメイ。
「大丈夫よ、真人さん・・・」
メイヨウはフラフラと立ち上がる。
「メイヨウ! どこに当たったの?!」
「うっ・・・分かんない・・・」
とジャケットを脱ぐと右胸の下辺りから血が大量に滲んできた。
「あぁっ! 直ぐ横になれ!」
「ああ、お姉ちゃん・・・!」
沈むように倒れるメイヨウを真人が支えた。
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