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マーメイはメイヨウを抱きかかえると、ゆっくりと歩き出した。
「麻美さん、どこへ?」
「最後の任務があるの・・・」
「え?」
「ここはもう存在してはいけない。証拠を消さないと・・・」
メイヨウを引きずるように両腕で抱えてペントハウスへ向かうマーメイ。
「工作員たちが来るわ。長谷川さんもターゲットなの。早く逃げて」
「じゃあ麻美さんは?!」
「言ったでしょ? 私はメイヨウだけを逝かせられない。いつも私たちは一緒だったの。それを分かって!」
「そんなこと言うな!」
怒鳴る真人にマーメイは振り返って微笑む。
「長谷川さん、友里さんと奈々ちゃんをしっかり守って・・・」
「あ・・・」
真人はマーメイの意思は曲げられないことを悟った。
ペントハウスの階段をゆっくりと上るマーメイ。
「これで全てがリセットされるわ。私に会う前の日常に・・・」
「・・・・・・」
「エレベーターは止まってしまうから階段でそのまま下へ逃げて!」
「うっ・・・」
涙が溢れる真人。
「早く!」
真人は息を吸うと、
「さよなら麻美さん!」
ドアの前に立つマーメイに叫ぶ。
「さよなら長谷川さん、いや真人さん。妹をありがとう!」
ニコリとした瞳に涙を浮かべて機械室へ消えていくマーメイ。
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