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友達の恋人(その4)
僕はひろ子とまだ直接に話した事がない。ひろ子は多分、僕の存在に気づいてないと思う。まだ未知の女性の存在。あまりにもひろ子が眩しく見えるのはきっと僕が女性を知らないし、付き合ったこともない。あまりにも唐突に現れたひろ子。修一に逢うたびにひろ子との恋の話しでいっぱいである。春のツーリングは結果的に失敗に終わったがまた修一はひろ子と二人でツーリングに行く計画を立てている。羨ましいと反面、修一が変わっていくのを日に日に分かり始めた。恋の世界に導かれるようにである。僕と修一はバイクが好きだった。自由に走れて風の中、スピードと集合管マフラーの音とガソリンの匂い。すべてはバイクが青春と思っていた。桜が舞う季節に恋も舞う修一とひろ子。
(今度のツーリングは晴れた日にしようね)
(寒かったわ。でもバイクの後ろって私、好きよ)
バイクのツーリングはいい。僕は女性を後ろに乗せた事がない。どういう心境なんだろう。桜の花びらが恋の季節の幕開けをしたのであろう。
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