終わりのはじまり

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「志織―――っ!!」 入学して1週間が過ぎた日の放課後。 教室を出た瞬間に、自分を呼ぶ男子生徒の声が聞こえて、志織は足を止めた。 「木下(きのした)くんっ!?」 声の主は、同じクラスの木下優也(きのしたゆうや)だった。 ちょっと自信過剰で、賑やかすぎるくらいの彼は、自己紹介でクラスの笑いを誘って以来ムードメーカー的存在になっている。 「どうしたの?・・・すごい勢いで走ってたけど・・・?」 「はぁっ・・・はぁ!!間に合ったぁ・・・。もう帰ったかと思って焦った!いやぁ・・・俺、今バスケ部の入部届け出しに教務室行ってたんだ!」 肩を揺らしながら話す所をみると、きっと猛ダッシュしてきたんだろう。 「ほら、これ!」 木下は、自慢げに受理された入部届を突き出した。 「おぉ~っ!これで見事にバスケ部員だね!」 志織が誇らしげな彼に拍手を送ると、木下はさらに得意げにもう一枚の紙を私に差し出した。 「なにこれ?」 「お前の分も届け出しといた!!一緒に頑張ろうぜ、マネージャー!!!」 「えーーーーっ!!??」 瞬間的に、志織は木下の手から入部届を奪い取った。 「・・・受理されてる・・・」 「マネージャーやりたいって言ってただろ?」     
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